普段しない事
性懲りもなく新馬戦をひとつ買ってみたら、当たらなかった。
夏は駄目だわとまた観念した。
短波ラジオと新聞と赤ペンを持って、場所を替えることにした。
夏のスカートの裾のほころびでも直しましょうと、非常に珍しいことに、小さなお針箱を出してみた。
普段は針を持つより安全ピン派で、びっくりされる。
少し前目の席で『日本沈没』を観た。
阿部玲子が直した、小野寺俊夫のジャンパーのファスナーの縫い目が「あらま」と笑ってしまう程ジグザグだった。
『写真集』にその証拠写真があるのだけれど、これはスクリーンの方がずっと良い。
この縫い目一つからでも解釈は様々広げられる。
馬券は当たらないし暑いし、ザクザクと10センチ程縫ってみて、表地を見てみたら「あらま」だった。
映画でもない現実なので、母だったら「やりなおしっ」だけれど、わたしは「気を取り直して次から」布地をすくうようにして真面目に纏っていった。結構楽しい。
競馬実況は、第2放送を聴いていて、小倉メイン。
ラインクラフト死亡のアナウンスは、2時か3時くらいだったと思う。
「どうして?」という感じだった。
次々と競馬実況が入ってくる。針と赤ペン交互の使い分けで忙しい。
最近は息をしても太るので、勢いをかって、スカートのウエスト出しまで始めた。頭の隅では「どうして?」を繰り返している。
途中で放り投げるのは今日はいや。「どうして?」面倒な思いはしたが仕舞いまできっちり仕上げた。
最終レースには間に合って、複勝をひとつ買ってまた外した。
夜「第65回桜花賞」と「第49回サンスポ杯牝馬S」だけ見る。
どうしても何も、言いようのない出来事だった。